安易に敷引きできないと言いましたが、ではどのように手続きすればよいのでしょうか?
ポイントは、最低でも次の2点だと考えています。
それは契約時にきちんと説明することです。
この契約時にきちんと説明しないと、敷引き自体が無効として扱われる場合がありますので注意して下さい。
契約後入居時までに立会確認を実施する。
入居時点の原状確認を立会の上実施することが必要です。
多くの大家さんが、契約業務を入居者募集と一緒に仲介会社に委託していると思います。
しかし、今後の賃貸借契約は、大家さんの管理会社が実施しないとこのような契約はトラブルを招く場合があります。
仲介会社の契約は、入居者を決めるものであり、一般的な内容に終始するからです。
本来契約書は賃貸人と賃借人の合意した内容を書面化したものであり、今までは、一般的な契約書でも大きな問題は発生してきませんでした。それは賃借人側の情報量が少なく、賃貸借とは「そう言うものだ」で終わっていたからです。
現在では、ネットの普及により多くの情報を賃借人も得ることができます。
中には、仲介会社より多くの情報を持っている場合もあります。
この様な賃借人に対抗しうる手段を持っていますか?
今後の賃貸は大家さん自身の様式に合わせた賃貸借契約書を作成して行くことをお薦めします。
そこに、敷引きと原状回復について明記しておくことは、原状回復のみならず、賃借人とのトラブルの多くを回避できると考えています。
大家さんの物件に合わせた契約書の作成は原状回復のトラブルを回避し、退去時の敷引きを実施するものであると説明しましたが、その他にも大きな役割があります。
私どもの管理物件では、賃貸借契約に1時間以上の時間が掛ります。また、入居時の立会を30分以上かけて実施しております。
この様な時間が掛ると入居者とはかなりのコミュニケーションが取れます。
そして、賃貸物件での説明をかなり丁寧にできるので、使い方・生活の仕方を説明できます。
「大事に使ってほしい」この思いも併せて説明できます。
この様なコミュニケーションをしっかり取れると、入居中のトラブルはほとんど発生しません。
クレームや設備類の不具合への対応も非常にスムーズになります。
こちらからの要望や周辺住民からのクレームについても伝達がスムーズです。
管理会社とは、このように大家さんに代わってコミュニケーションを撮っていくのも役割の一つです。
別途管理会社を導入することは、大家さんにとって費用負担が発生しますが、それを補って余りあると考えています。
賃借人と賃貸人は、直接的には利害関係が明確になっていくと考えています。
現在の若い世代は比較的「権利義務」に意識があります。「人との繋がり」が希薄になる中で、コミュニケーションをいかに図るかが、円満ない賃貸経営には必要だと考えますが、なかなか難しい時代です。
第三者としての管理会社を活用し、退去時・入居中のトラブルを回避するのも賃貸経営上必要かと考えます。